社長ご挨拶

地球温暖化対策の一環として、政府は2050年のゼロ・エミッション目標を掲げました。目標達成のためには革新的な技術開発や政策の動員、ライフスタイルの見直し等、様々な方法を上手く組み合わせて行く必要があります。

二酸化炭素の排出量増加による地球温暖化問題への意識の高まりを受け、自動車産業はEVにシフトしようとしています。EVにはレアアースが不可欠ですが、レアアースはその偏在性により今日、戦略的な資源になっています。

「SIP第2期 テーマ12 革新的深海資源調査技術」は、我が国排他的経済水域内にレアアースが賦存することを確認、大きな成果を残しました。国産レアアースは、国際情勢に左右されない戦略的資源として大きな意義を持ち、その早期開発が待たれるところです。

開発に当たっては海洋環境や海洋生態系の保全にも万全な注意を払う必要がありますが、SIP第2期において海洋資源・環境広域モニタリングシステムが開発されました。更に、同システムを用いたモニタリング手法は、ISO23730, ISO23731, ISO23732およびISO23734として承認され、発行しています。

SIP第二期においては、次世代海洋資源調査技術研究組合(J-MARES)が研究開発計画に参画し大きな貢献を果たしましたが、J-MARESは2023年3月末を以て発展的に解散しました。

当社は、J-MARESの成果と課題を引き継ぐと同時に、これまでに研究開発された技術の社会実装というSIP第3期のテーマに応えるべく、2023年3月、新たに民間会社として設立されました。当社は、J-MARESで培われた知見と経験をもとに、SIP第2期の成果の実用化と普及を通じて、持続的な海洋開発と海洋環境保全の両立、またひいては海洋の安全保障といった今日的課題の解決に貢献すべく努力して行きます。

次世代海洋調査株式会社 社長 田中啓誉